カフェ頼政道

「第116回 カフェ・頼政道」 2月7日

終了しました

「昭和の名優」


「昭和の名優」13:00~14:00


11:30~13:00 
ランチ・喫茶タイム
13:00~14:00 

昭和の名優
26年5月には小津安二郎監督の名画を豊原さんに解説頂きました。今回も、懐かしい昭和の名画・名優を振り返ります。貴方にとっての名優は誰?女優ならやっぱり原節子、それとも初代ミス日本の山本富士子、可憐な吉永小百合、美貌の岸恵子、儚く輝いた夏目雅子…。俳優なら、水も滴る長谷川一夫、太陽のような裕次郎、君の名はの佐田啓二、和製ジェームスディーンの赤木圭一郎…。


 2月7日(日) 「溝口健二と田中絹代の世界」

冒頭私から「昭和の女優」の十数名をスライドに写しました。田中絹代、高杉早苗、京マチ子、新珠三千代、南田洋子、山本富士子などなど。高杉早苗さん以外は皆さんほとんど即答でした。 さて、本日の講師は大阪芸術大学・大学院で映像芸術を教えておられる豊原正智先生です。前回は「東京物語」を題材に小津安二郎の世界を教えていただきました。
今回は日本映画が黄金期と言われた昭和の時代の名匠の溝口健二さんの映画の持つ魅力とその中心的役割を果たした女優 田中絹代についての講義です。
教材は「夜の女たち」「お遊さま」「西鶴一代女」「雨月物語」などです。先生はまず田中絹代の出生から一家の転落を話され、厳しい時代を生き抜いたことが女優として大成したことにつながったとのことです。
豊原さんは実際のフィルムを示しながら、田中絹代が「夜の女たち」では高杉早苗との共演でいわゆる汚れ役を演じたこと、「お遊さま」では谷崎の耽美的な世界の中で京都の上流社会の女性を優雅に演じたことを説明される。そして彼女の演技者としての実力の高さを指摘される。そして溝口が昭和27年ベネチア国際映画祭で国際賞の栄誉を受けた「西鶴一代女」、翌年昭和28年、サンマルコ銀獅子賞を受けた「雨月物語」についてその撮影技法の特徴である長回しが映画に緊張感を与えたことや女優を叱りつけるなど妥協を許さない映画製作態度を強調され、「西鶴一代女」では主人公お春を演じた田中絹代の名演ぶりを説明してくださいました。またこの映画がフランスのヌーベルバーグの旗手であったゴダールに多大な影響を与えたということです。あの「勝手にしやがれ」のパリのシャンゼリゼ通りでの長いカットは溝口の影響だそうです。「西鶴一代女」と同様、溝口、田中、宮川が揃って関わった「雨月物語」では京マチ子の妖艶とも言える美しさと田中の世話女房ぶりの対比、そしてこの映画のカメラマンの宮川一夫の映像美は傑出しているとしてその功績についても説明をされました。溝口映画の真髄、そしてその中心的役割を演じた田中絹代の、大スターだったけれど演技派としての演技の幅の多様性を学ぶことができました。豊原先生、ありがとうございました。