カフェ頼政道

「第83回 カフェ・頼政道」 5月18日

終了しました

「小津安二郎の世界」


カフェ頼政道4周年記念講演 第2弾「小津安二郎の世界」

11:30~13:00 
ランチ・喫茶タイム
13:00~14:00 

「小津安二郎の世界」
日本映画が黄金期と言われた昭和の時代、溝口、黒沢に続いて国際的評価を受けた小津安二郎さん。彼の映画が持つ魅力を、今改めて教えて頂きます。先生は、豊原正智さん(大阪芸術大学で映像芸術を教えておられます。平尾台に在住)


5月18日(日)「小津安二郎の世界」
小津安二郎の世界 大阪芸術大学・大学院で映像芸術を教えておられる豊原 正智先生に来ていただき、日本映画が黄金期と言われた昭和の時代の名匠の小津安二郎さんの映画の持つ魅力を教えていただきました。
豊原さんによれば小津の映画を語るには1時間では足りない、短すぎるということです。したがって本日は「娘の結婚」をテーマに小津の映画のさわりを語って頂きました。
教材は「晩春」「東京物語」「秋日和」の3作です。
豊原さんは実際のDVDを示しながら、それも核心の場面では俳優の細かな表情まで説明してくださいました。まず「東京物語」の老妻(東山千栄子)が亡くなった直後の朝、尾道の港で笠智衆が「ああ、きれいな夜明けだった。ああ、今日も暑うなるぞ」という場面、この何という日常(非ドラマ性)の凄さ。豊原さんは実際のロケ現場に行かれたそうです。それくらい心に残ったシーンということでしょう。「晩春」での笠智衆と原節子が演ずる父と娘、父の再婚話と娘の結婚話が二人の関係を浮かび上がらせます。能を鑑賞している時の娘(原節子)の表情の変化を捉えてその意味を教えて下さいます。「秋日和」では原節子と司葉子が今度は母と娘の関係で同じような再婚話と結婚話。繰り返されるテーマ。そのテーマは家族。出演者も多くは同じ、同じ俳優が繰り返し同じような役柄を演じる。その集団を「小津組」というらしいです。小津はロー・ポジションでカメラを固定してショット内の構図を変えずに、人物を相似形に画面内に配置するなど独特の技法へのこだわりが強かったことなど、小津映画の真髄の一部に触れることが出来ました。ありがとうございました。